開発日誌

日々の開発、ものづくりについての話題や商品の説明を掲載していこうと思います。

一般的なVブレーキがピストに付かない理由

ピスト用Vブレーキアダプターに一般的なVブレーキを取り付ける上での現状における問題点をまとめてみました。

TTマシン用のVブレーキと従来型Vブレーキの違い

 TTマシン用のVブレーキの何が新しいかというと、フロントフォークの裏側に取り付けてもフレームのダウンチューブと干渉しないようにタイヤの上ギリギリのところをケーブルが通る設計になっているという点です。写真はシマノのコンパクトVブレーキBR-R353とTRPのTTVを並べたものです。ブレーキシューとピボットの位置はTRP、BR-R353共にほぼ同じです。アームの長さが随分違うことが一目でわかると思います。レバー比を抑えたコンパクトVブレーキと並べてもさらに20mmほどコンパクト。ここが従来のVブレーキと明らかに違う点です(レバー比的には従来のVブレーキには劣るはずですが、一般的なキャリパーブレーキに比べ劣るものではありません)。

 

従来型Vブレーキをピストに採用できない理由

 フロントブレーキについては、TTVに比べBR-R353の方がブレーキシューの取付位置の自由度が高いため、ブレーキシューを目いっぱい上に取り付け、スタッドボルトの位置を下げて再設計すればもしかしたらギリギリ取付できるかもしれません。しかし、あまりにギリギリすぎると取付けるフレームによっては干渉してしまうケースもでてくるはずで、オーダーメードはともかく汎用性を持たせた量産品としてはちょっと成立しないかなと言うところです。逃げ手としては、26→700cコンバータ的にブレーキシューのセッティング範囲を広くしたものでかつコンパクトVタイプのものを使用するという方法もありますが、現物合わせ的要素が強い上、26インチ規格の主流であったマウンテンバイクが27.5インチへ移行している中、このような製品がいつまで供給されるのか不明です。従来型のVブレーキは安くて魅力的ですが、合うものを探す手間を考えるとTTマシン用のVブレーキを買った方が早いんじゃないかなと思います。

また、リアについてはアームの飛び出しが大きく、BB周辺に取り付けるとチェーンリングとの干渉が発生します。正直、リアについてはVブレーキでなければいけない設計上の制約がなく、そこで苦労するぐらいならシマノのダイレクトマウント規格でリア専用のものを再設計した方が間違いなく良い物が作れるはずです。

 

今後の方針

 TTマシン用のVブレーキはシマノ製に比べ、入手性は悪いものの、国内代理店の他、海外通販サイトなど入手できないことはありません。小倉自転車でもサポートの一環としてセット商品の販売を行っていますが、少しでも安く手にしたいという方からのお問い合わせにも知りうる範囲で回答させてていただきたいと思います。ブレーキアダプター自体が自己責任でフレームに取り付け穴をあけるような仕様ですので、ブレーキ本体の調達も自己責任と考えお問い合わせいただく分にはご協力させていただきたいと思います。また、シマノのダイレクトマウント規格のリア専用アダプターについては、BBの上ではなく下に配置したいというニーズもあるかと思いますのでその辺踏まえつつやってみたいと思っています。後は、穴あけなしでフロントに取り付ける方法ですかね…。

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